第17回日本中性子捕捉療法学会学術大会の開催にあたって
このたび日本中性子捕捉療法学会の会員の皆様のご推挙で、第17回日本中性子捕捉療法学会学術大会を熱海の地で開催することになり、重責に心が引き締まる思いであります。原子炉で連綿と受け継がれてきた中性子捕捉療法は、今や加速器による中性子捕捉療法の登場で、大きく腫瘍学の世界に羽ばたき始めました。中性子捕捉療法の多くの業績は日本から発信されたもので、加速器中性子捕捉療法の技術も我が国を中心に展開されていることも強調されねばなりません。この我が国で育くんできた中性子捕捉療法の理論と技術を世界に展開するためには、加速器中性子捕捉療法を確たる臨床的モダリティに育て上げ、その腫瘍学における位置づけを確立する必要があります。そのためには、日本中性子捕捉療法学会の強みである、生物学、化学、物理学、臨床医学にわたる多岐の人材が一丸となり、その英知を結集する必要があります。
この熱海は、遠く奈良の時代からの温泉地で、江戸時代以来東京の奥座敷として貴賤を問わず多くの人々を引き付けてきた海に面した風光明媚な温泉町であります。その熱海の地で、温泉につかりながら、美酒に浸りつつ胸襟を開き、各々の思想と信念をぶつけ合うことこそが新しい中性子捕捉療法の明日を築くために必要なのだと思います。
皆さま、ぜひ熱海にお越しいただき、会員の皆様の中性子捕捉療法に対する情熱をぶつけ合おうではありませんか。「人間は解決できない問題は提出しない」はマルクスが資本論のなかでいった言葉ですが、それを心に抱きつつ中性子捕捉療法の未来を語りましょう。
では、熱海でお待ちしております。